Chiral Chemicals as Tracers of Sources and Fate Processes in a World of Changing Climate 気候変動下における、発生源と環境中運命のトレーサーとしてのキラル化合物 Terry F. Bidleman, Liisa M. Jantunen, Perihan B. Kurt-Karakus, Fiona Wong  残留性有機汚染物質(POPs)の、国内および国際的な規制は、「一次」発生源からの排出量を減少させている。 しかし、過去の多量に使用された時期に土壌や水、氷、植生に沈着・残留したPOPsが、「二次」発生源として、 POPsの放出を続けている。将来には、これら二次発生源が中心となるだろう。これらPOPsは、有機炭素の地球に おける自然循環に組み込まれ、生物地球化学的プロセスがこれらPOPs分子の移動、濃縮、消失を決定していく だろう。気候変動は、気温の上昇、極地方における氷量の減少、氷河の溶解、POPsの代謝や分解に影響する 土壌微生物相の変化などを引き起こし、その結果、POPsの移動に影響を与えるだろう。  キラル化合物は、移動や消失の経路に関する特別な利点を持つ。なぜなら、ラセミ体(新たに環境放出された、 あるいは生物から隔離されていた)と非ラセミ体(生物による反応を受けた)の判別が可能だからである。キラル な固定相を持つGCあるいはLCとMSを用いることによって、多くの化合物種において、鏡像異性体(enantiomer) 特異的な分析が可能となる。ここでは、このアプローチの理論的基礎について議論し、またその応用(キラルな POPsあるいは他の化合物が、気候変動に影響を受ける移動・分解プロセスの研究を進展させる)について提案する。 例として、次のようなものの判別がある。「農業関連か否か」「最近使用されたものか、あるいは、過去に使用 され分解などのプロセスを経て土壌中に残存しているものか」「過去に沈着したものか、あるいは、氷量変化の 影響で北極の大気に揮発し最近沈着したものか」